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ブログ#9 ビタミンDと認知症:本当に関係あるの?

更新日:2023年10月21日

前回のブログで、運動、認知トレーニング、ビタミンD摂取に関するカナダの研究を紹介させて頂きました。その研究によると、ビタミンDの摂取は、MCI (軽度認知障害)を持つ60歳以上の参加者の認知機能には、影響を与えなかったとの報告*1(詳しくは私のブログ8を読んでみて下さい)でした。

ビタミン Dは、おそらく、骨の健康に重要な役割を持つということで、最もよく知られているのではないでしょうか。さらに、抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用もあるそうです。しかし、私は、正直なところ、ビタミンDと認知障害との関連性について、あまり詳しいことは知りませんでした。そして幸運にも、最近、その関連性に関する研究をまとめた包括的な報告書*2を、見つけることができました。

この報告を簡単にまとめると、以下のようになります。

1)動物または細胞を使った実験では、ビタミンDが中枢神経系で複数の機能を担っていると示唆されている。2)横断研究(ある特定集団の、ある一時点でのデータを分析する研究)では、認知障害や認知症のある人の血中ビタミンD濃度が低いことが報告されている。ただし、逆の因果関係(ビタミンD濃度が低いから認知症になったのではなく、認知症のため、食事などが適切にできず、そのためにビタミンDが低下した)が存在する可能性がある。3) ビタミンD不足と認知機能低下のリスク増加との関連性については、まだ答えがはっきりしていない。4) ビタミンD補給が認知機能に及ぼす影響を調べた試験では、結論がバラバラである。5) ビタミンDの投与量については合意がなく、リスクのある人々に対する最適な治療年齢も特定されていない。 6)今後、更なる研究が必要である!

つまり、今のところ、ビタミンDと認知機能の関係については、残念ながら、明確な答えはないようです。しかし、ビタミンDが欠乏している、もしくは、過剰である、という両極端は、身体に悪い影響を及ぼすというのは、想像できますね。認知面に拘わらずとも、例えば、ビタミンD不足は、高齢者では特に、骨粗鬆症による骨折リスクを高めますので、なおざりにしたくありません。

さて、前回紹介した研究では、ビタミンD摂取での認知面改善が見られなかったのは、重度のビタミンD欠乏症の参加者は4名のみで、他の参加者はビタミンD欠乏症ではなかったという事実に関係している可能性があると、指摘しています。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*3 によると、日本人のビタミン D の 1 日あたりの食事摂取目安量は、18歳以上の成人に対して、8.5µg (マイクログラム) を設定しています。もちろん、ビタミン D の過剰摂取も健康に害を及ぼしますので、上限量を成人では100 µg/日としています。実は、肌が太陽にさらされることで、私たちの身体はビタミンDを生成します。という事で、これらの目安量は、日照によるビタミンDの生成量も考慮し、あくまでも食事からの目安量としています。

ビタミンDは、サーモン、牛乳、卵、豆乳、などに豊富と言われています。ちなみに、料理したサーモン一人前(85g)には14.2 µg、大きめの卵1個で作ったスクランブルエッグには1.1 µgのビタミンDが含まれています*4。私の著書「親子で防ぐ認知症」でも触れておりますが、サプリメントに頼るのではなく、毎日の食事からきちんと摂る、というのが1番理想的ですね。そして、是非、定期的に太陽の光を浴びることを忘れないで下さい。私は、灰色の空で有名な(苦笑)ワシントン州に住んでいるので、太陽が出たらすかさず、日焼け止めを塗って外出するようにしています!


*1 Montero-Odasso M, Zou G, Speechley M, et al. Effects of Exercise Alone or Combined With Cognitive Training and Vitamin D Supplementation to Improve Cognition in Adults With Mild Cognitive Impairment: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open.2023;6(7):e2324465. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.24465


*2 Sultan S, Taimuri U, Basnan SA, Ai-Orabi WK, Awadallah A, Almowald F, Hazazi A. Low Vitamin D and Its Association with Cognitive Impairment and Dementia. J Aging Res. 2020 Apr 30;2020:6097820. doi: 10.1155/2020/6097820. PMID: 32399297; PMCID: PMC7210535.



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