私事ですが、しばらく日本に帰国しておりました。その間に、30歳の時に人生やり直し!を決意し入学した、金沢大学の作業療法学科を訪れる機会に恵まれました。大学の恩師・柴田教授にお招き頂き、作業療法学3年生の皆さんに講義(もどき⁈)をさせて頂くことになった次第です。認知症ケアの論理と実践という観点から、私が枠組みとして使っているパーソン・センタード・認知症ケア(person centered dementia care)と文化的謙虚さ(cultural humility)を、簡単にお話しさせて頂きました。また、現在、取り組み中の認知症ケア・モデルについても触れさせて頂く事が出来ました。これは来年の春に開催されるアルツハイマーの国際会議で発表することを目標にしています。このホームページにも書いていますが、文化の多様化が進むアメリカはもちろんの事、在留外国人の数が増え、また、医療に従事する外国人の数も増えていくことが予想される日本でも、多様な文化に対応するには、謙虚な心構えが必要だと考えます。将来、素晴らしい作業療法士となられるであろう学生の皆さんにも、私の考える医療従事者のあり方が伝わっていれば嬉しい限りです。
私は生まれも育ちも金沢で、現在93歳の母が1人でがんばって暮らしているのも金沢です。東京と繋がる新幹線が出来て以来、金沢の国際化が進み、外国からの観光客が後を絶ちません。街を歩いていると、いろいろな言語が耳に入ってきます。もしかすると、その観光客の中で、不幸にも病気や怪我で病院を訪れたり、入院されたりする方がいるかもしれません。そんな時、私たちが持つ、そして、自身でも気づいていない他文化に対する偏見やステレオタイプが、治療やケアの妨げになってはなりません。そして、医療分野だけに限らず、真の意味で異文化交流に従事するためには、文化的謙虚さという概念を理解することが大切だと思います。
金沢大学の作業療法学専攻の皆さん、世界に羽ばたく、グローバルな視野で活躍する作業療法士となって下さいね。応援しています。そして柴田先生、お招き頂き、ありがとうございました!
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