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ブログ#14 長引くコロナとブレイン・フォッグ

私の周りにいるアメリカ人の知り合いに、症状がかなり長引くコロナを経験している人が、チラホラいらっしゃいます。そして、その中には、認知機能面の低下を訴える方も、いらっしゃいます。所謂ブレイン・フォッグの症状です。記憶力などの認知機能の低下を症状とし、脳が霧のようにモヤモヤした感じがする、ということから、Brain Fog (脳の霧)と呼ぶことが多いのです。そこで今回は、それに関連したアメリカからの研究報告*1を紹介させて頂きます。


この研究は、新型コロナウイルス感染後の罹患後症状(症状が長引く状態)における、認知面の症状を調査するために実施されました。 自己申告制によるインターネットで行われた調査には、米国内の 18 歳以上の人々が参加しました。 調査の少なくとも2か月前に検査でコロナ感染が確認されたと報告した人は、14767人いました(平均年齢:44.6歳、アジア人:3.8%、黒人:10.0%、ヒスパニック:9.5%、白人:73.2%、女性:68.0%、男性:32.0%)。 そして、この内の 1,683 人 (11.4%) が、罹患後症状の定義を満たしていました。これはどういう意味かと言いますと、調査開始日が、初めて新型コロナウイルス陽性反応を確認した月から 2 か月以上経過している個人で、調査時点で未だに何らかの症状を持っていた人、ということです。調査の質問内容は、認知面、気分、生活の上での機能面に関するものでした。 ちょっとビックリした結果は、罹患後症状を報告した1,683人の内の955人(56.7%)が、毎日少なくとも1つは認知面での支障を経験していると報告したのに対し、罹患後症状の無い人では、13,084人中の3,552人(27.1%)だけだった、ということです。 つまり、罹患後症状の方の半数以上が、思考の鈍化、集中力の低下、記憶力の低下(例:薬を飲むこと、何かを買うこと、等を忘れてしまう)、並行作業の困難、意思決定の困難など、何らかの認知面での支障を、毎日経験していた訳です。更に興味深いことに、罹患後症状においては、男性よりも女性の方が、また、高齢者(65歳以上のグループ)より年齢が若いグループ(18~24歳および45~54歳のグループ)の方が、日常的な認知面での支障を訴えていたそうです。 年齢差に関しては、既に加齢に伴う認知機能の低下を経験している可能性のある高齢者と比較して、若い人は、コロナに罹る前のベースラインからの変化を、より顕著に感じるためではないかと、この研究者は示唆しています。罹患後症状のある人では、認知面の低下は、高い抑うつ症状に関連しており、生活面での支障とフルタイムでの雇用の率が低い、ということにも関連していたそうです。


この研究が示唆しているように、認知機能の低下は、罹患後症状に共通する特徴であるので、罹患後症状の評価と治療に関しては、認知面を考慮することが重要だと考えられますね。 コロナ・パンデミックは、私たち人類にとって初めての経験であるため、まだまだ分からないことだらけですが、 近い将来、罹患後症状に関して更なる研究が行われ、しっかりとした評価と治療法が確立されることを願っています。 そして勿論、罹患後症状の方で認知面の低下―ブレイン・フォッグを経験している場合は、躊躇せずに、かかりつけ医や医療機関に相談して下さいね。



*1 Jaywant A, Gunning FM, Oberlin LE, et al. Cognitive Symptoms of Post–COVID-19 Condition and Daily Functioning. JAMA Netw Open. 2024;7(2):e2356098. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.56098


*罹患後症状について (厚生労働省のウエブページより)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html

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