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  • kateoya

ブログ #15 夫の母から学んだこと

85歳になる夫の母が、数年間癌と勇敢に戦い、残念なことに、つい最近亡くなりました。彼女は今は亡き夫(私の夫の父)と、8人の子供を育てあげました。そして、私の夫を含む8人の子供たちは、子供の頃に骨折などの大怪我もなく!皆、立派な大人になりました。

義母の献身は、家族に対してだけではなく、彼女が暮らした地域社会にも向けられました。1番下の子供が幼稚園に入るとすぐ、彼女は6年生を担当する教師となり、その後、教会区(1つの教会が担当する管轄地区)の典礼担当者となり、16年間教会に勤めました。カトリック信仰が、義母の人生の中心であり、引退しても、カトリックの典礼儀式、解放の神学*1、アフリカ系アメリカ人の信仰伝統などの専門知識を活かして、亡くなる直前まで、教会とコミュニティを支えて来ました。その結果、義母の周りには、沢山のお友達やファンさえ!いました。

アメリカ南部出身の黒人女性として、人種差別や性差別などの抑圧的なシステムの中で、義母は飛び級して、大学を卒業しています。とても知的で機知に富む女性でした。私の本にも書かせて頂きましたが、義母は、認知症に関する私の仕事を理解していたので、いつも冗談めかして、歳をとるにつれて認知面が低下して来ると感じ、その内に私のお世話になると言っていました。しかし、もちろん、義母には、認知症の気配など全くありませんでした。とても辛かった化学療法中でさえ、自分の治療スケジュールを把握して、どんな薬が使われ、副作用はどんなものか、しっかり理解していました。パソコンもスマートフォンも、私よりダンゼン!使いこなしていました。人と積極的に関わるという意味では、難しい医学用語も流暢に使いこなして、担当医師と対等に会話していたのが、思い出されます。

おそらく義母の知性は、持って生まれたものかもしれません。しかし、彼女の物事に対するバイタリティー溢れる態度は、特別なものでした。義母はいつも教会やコミュニティに身を置いて、人と関わっていました。決して孤立しませんでした。私の本でも触れさせて頂きましたが、社会的孤立は認知症の危険因子と言われています*2。義母は、いかに人々と関わり、支え合い、地域社会に身を置くかということを実践してきた人です。彼女がそれに気づいていたかは分かりませんが、当に、人と社会と接点を持つことで、認知面/脳の健康を保ち続けたお手本ではないかと、私は思ってます。


レネットお母さん、いろいろありがとうございました。どうぞ安らかに眠って下さい。


*2

Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, Ames D, Ballard C, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet, 2020;396:413-446. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)3036-6

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