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- ブログ #18 100歳を目指しましょう!?
お久しぶりです!遅ればせながら今回は、この6月に発表された百歳高齢者に関する研究を紹介したいと思います。この興味深い研究は人口大国の中国で行われ、80歳以上の人々の健康的なライフ・スタイルと百歳になる可能性との関係を調査しました*1。 この研究では、80歳以上の人々を対象とした、中国で最大規模の調査の1つである中国長期健康長寿調査のデータを使用しています。年齢、性別、参加年が一致した、1454人の百歳高齢者と3768人の対照群(百歳になる前に死亡した方々)を含む、5222人の参加者(61.7%が女性、平均年齢94.3歳)で構成されていました。平均追跡調査期間は5年間でした。 この大規模研究では、喫煙、飲酒、運動、食生活の多様性(5つの食品群の摂取頻度)、BMIの5つのライフ・スタイルの側面に基づく、健康的なライフ・スタイル・スコア(HLS:スコアが高いほど健康状態が良好である可能性を示す)が使用されました。喫煙、飲酒の状況については、参加者に0、1、2(全くない:2、過去に経験:1、現在実行中:0)のスコアが、運動については0、1、2(全くない:0、過去に経験:1、現在実行中:2)のスコアが割り当てられました。 食生活の多様性は、果物、野菜、魚、豆、お茶の5つの食品群の摂取頻度に応じて評価されました。 参加者は、各食品群の摂取頻度について「ほぼ毎日」、「冬以外、または時々、もしくはたまに」、「滅多に、または全くない」と回答し、それに応じて2、1、0のスコアが割り当てられました。 BMIについては、中国では80歳以上の人々において、低体重が全死亡リスクの増加と関連付けられているため、参加者には、低体重、過体重/肥満、標準体重にそれぞれ0、1、2のスコアが割り当てられました。そして、健康的なライフ・スタイルと80歳以上の人が100歳以上になる確率が、関連していることが観察されました。また、特に、喫煙状況、運動、食生活の多様性の3項目のみを含む健康的なライフ・スタイル・スコア(HLS-100)を作成したところ、健康的なライフ・スタイルと百歳以上の高齢者になる可能性との関連性は、興味深いことに、さらに高くなることが観察されました。健康的なライフ・スタイルを順守することは、高齢になっても有益である可能性がある、ということになります。この研究者は、健康的なライフ・スタイルの評価は、年齢層ごとにカスタマイズする必要があり、健康と長寿を促進するライフ・スタイルの改善を目的とした介入方法は、人生の様々な段階で役に立つ可能性がある、と示唆しています。 米国国勢調査局によると、2020年のアメリカの国勢調査では、百歳以上の高齢者は80,139人でした。これは、2010年の国勢調査から50.2パーセント増加しています。そして、ご想像のとおり、その大半は女性でした(78.8パーセント)*2。 さて、長寿大国の日本ではどうかというと、2023年には100歳以上の高齢者は92,139人となり、そのうち約89%が女性でした(厚生労働省調べ)*3。調査の年に違いはあれど、アメリカの人口は、大雑把に見て、日本の約3倍と考えると、日本の100歳以上の方々の数が、とても多いことが分かると思います。 年齢や性別に関係なく、健康的な選択を日々していくことが、賢明であることに間違いはないと思います。将来、「元気な百歳以上の会!」に入るためには、遅すぎることはありませんー現在のライフ・スタイルを見直して、今から賢く健康的な生活を始めましょう!! 日本は、まだまだ暑い夏が続いていることと思いますが、皆さん、どうぞ熱中症や夏バテに充分注意して、元気にお過ごし下さい。 *1. Li Y, Wang K, Jigeer G, et al. Healthy Lifestyle and the Likelihood of Becoming a Centenarian. JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2417931. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.17931 *2. The U.S. Census Bureau (2023). The Older Population: 2020 census briefs. https://www.census.gov/library/stories/2023/05/2020-census-united-states-older-population-grew.html *3 The Japanese Ministry of Health, Labour, and Welfare (2023). Press Release (in Japanese). https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001145390.pdf
- ブログ#17 アルツハイマー病世界会議に参加して…
私事ですが、4月下旬に、第36回国際アルツハイマー病世界会議(the 36th Global Conference of the Alzheimer’s Disease International)に出席し、幸運にも発表する機会に恵まれました。今回の会議は、ポーランドの古都クラクフで開催されました。 この会議の参加者は、ポーランドで実際に参加するか、オンラインで参加するかを選択できます。 私は、アメリカでのスケジュールが合わなかったため、残念ながら、オンライン参加を選択しました。3日間の会議では、アルツハイマー病やその他の認知症に関する新しい治療法や介入、介護の問題、支援、政策など、様々なトピックが盛り込まれました。世界中から、1000人以上の代表者が参加したということです。私は、ずっと取り組んで参りました認知症ケアのモデルに関して、その他の素晴らしい発表者に混じって、事前録画という形で、発表させて頂きました。 この会議では、タスマニアからケニア、ネパールからスコットランドまで、いろいろな地域・国、そして組織・団体を代表する方々の発表を拝見し、個人的にとても刺激を受け、また、感動しました。これらの発表に一番共通していたのは、認知症の方々の生活をより良いものに、という思いではないかと、感じています。 さて、私にとっての会議のハイライトは、まず、小児認知症についてです。当初私は、小児の認知症については、ほとんど知識がありませんでしたが、いくつかの発表から、この複雑な経験について、より多くの情報と洞察を得ることができました。 残念ながら、認知症は一生を通じて起こる可能性があります。 しかし、小児認知症の場合、今後、臨床試験を含む更なる研究が進めば、効果のある治療や治癒は、可能性が大きいということです。第二に、多くの発表者が、認知症の研究と、認知症の診断からケアを受けるまでの支援プロセスにおいて、多様性、公平性、包括性が欠如している(私のブログ16でも同様の問題に、多少なりとも触れております)と問題提議し、また、多くの国々で、これらの問題を改善するために、具体的な努力が行われているという、報告をしています。 そして最後に、国際アルツハイマー病協会(the Alzheimer’s Disease International: ADI)は、支援活動を強化するための意図的な戦略として、グローバル認知症専門家パネルを設立しました。 この重要なパネルは、認知症の方々と、その介護者から成ります。 現在、パネルには各大陸の代表者がおり、将来的には世界各国からの人材を採用することを目指しています。 現時点でのメンバーの方々が、認知症の方の声を直接取り入れることの大切さを訴え、改めてその重要性を痛感致しました。この中に、日本を代表して、山中しのぶさんもいらっしゃいます。山中さんは、2019年に若年認知症と診断を受け、その後、ご自身の経験を活かして一般社団法人「セカンド・ストーリー」を設立され、高知県で認知症の方々のためのデイサービス「はっぴぃ」を運営されている、素晴らしい方です。スーパー・ウーマンと呼ばせて頂きたい程です。そして、勿論、参加者からは、拍手喝さいが湧きました! この会議で、新しい知識・情報と共に、元気を頂き、私も自分なりに、出来ることを一つ一つ確実にやっていきたいと、更に決意した次第です。 最後の最後にもう一つだけ、お知らせをさせて頂きます。現在、国際アルツハイマー病協会は、認知症に関する意識調査を世界的に行っています。お時間があれば是非、調査にご協力下さい。以下のリンクをクリックして頂くと、調査のページになります。右上の言語セクションから、日本語を選択出来ます。よろしくお願い致します。 https://lse.eu.qualtrics.com/jfe/form/SV_71FXXETjeLzzvzE
- ブログ#16 人間の脳は大きくなっている!?
今回は、先月発表されたアメリカからの新しい研究*1をご紹介したいと思います。 この研究の焦点は、私たちの脳の容積にあります。 研究者たちは、地域密着型の集団研究であるフレーミングハム心臓研究の参加者の、脳のMRI(磁気共鳴画像法)を使用しています。そもそもの研究は、1948年にマサチューセッツ州フレーミングハムで、心血管疾患やその他の疾患を調査するために開始されました。この研究は75年間続けられており、現在では2世、3世の世代が参加しています。 この脳の研究には、MRI時の平均年齢が57.7歳の3226人が参加しています。 この参加者のうち、1706人が女性(53%)、1520人(47%)が男性でした。そして、参加者が生まれた年代は、1930年代から1970年代までの範囲でした。因みにMRIの時点で、認知症、脳卒中、またはその他の神経障害(多発性硬化症など)を罹患していた方は、この研究には含まれていません。 さて、結果は?と言いますと、1970年代に生まれた参加者は、1930年代に生まれた参加者に比べて、脳の容積(頭蓋内容積)が6.6%、脳表面積(皮質表面積)が約15%も大きいことがわかりました。 また、1970年代に生まれた参加者は、1930年代に生まれた参加者と比較して、白質の体積が7.7%、皮質灰白質の体積が2.2%、海馬の体積が5.7%大きかったそうです。 もちろん、これは身長、性別、年齢による差を調整した後の結果です。 そうです!参加者の脳は、世代が若くなるにつれ大きくなっていたのです! アメリカでは、高齢化に伴い、アルツハイマー病を持つ方の数は増加傾向にありますが、実際には、アルツハイマーに罹患している方の、総人口に対する割合は、減少しているという報告があります。そして、この研究の著者は、脳の発達と大きさの改善が、その理由の1つではないか、という仮説を立てています。 勿論、この研究は意義深いものですが、この研究の著者も認めているように、いくつかの制限があります。 この研究の参加者は、ほとんどが白人、また、健康で、高学歴でもあり、ほぼ半数(46%)が大学教育を受けていました。 したがって、より広範な米国の人口を代表しているかというと、そうでは無いことになります。アルツハイマー病やその他の認知症の研究において、 有色人種を対象にした研究は圧倒的に少ないのが現状です。この研究でも触れていますが、米国では有色人種の方々の社会的、経済的、および健康面での格差が大きく、 これらに伴うストレスや危険因子が、脳の健康と発達にどのような影響を与えるかは、具体的には分かっていません。言うまでも無く、この研究結果が、そのまま日本人に当てはまるかと言えば、やはり?マークですね。日本でも、日本人を対象としたこのような研究が報告されると、とても興味深いと思います。 *1 DeCarli C, Maillard P, Pase MP, et al. Trends in Intracranial and Cerebral Volumes of Framingham Heart Study Participants Born 1930 to 1970. JAMA Neurol. Published online March 25, 2024. doi:10.1001/jamaneurol.2024.0469
- ブログ #15 夫の母から学んだこと
85歳になる夫の母が、数年間癌と勇敢に戦い、残念なことに、つい最近亡くなりました。彼女は今は亡き夫(私の夫の父)と、8人の子供を育てあげました。そして、私の夫を含む8人の子供たちは、子供の頃に骨折などの大怪我もなく!皆、立派な大人になりました。 義母の献身は、家族に対してだけではなく、彼女が暮らした地域社会にも向けられました。1番下の子供が幼稚園に入るとすぐ、彼女は6年生を担当する教師となり、その後、教会区(1つの教会が担当する管轄地区)の典礼担当者となり、16年間教会に勤めました。カトリック信仰が、義母の人生の中心であり、引退しても、カトリックの典礼儀式、解放の神学*1、アフリカ系アメリカ人の信仰伝統などの専門知識を活かして、亡くなる直前まで、教会とコミュニティを支えて来ました。その結果、義母の周りには、沢山のお友達やファンさえ!いました。 アメリカ南部出身の黒人女性として、人種差別や性差別などの抑圧的なシステムの中で、義母は飛び級して、大学を卒業しています。とても知的で機知に富む女性でした。私の本にも書かせて頂きましたが、義母は、認知症に関する私の仕事を理解していたので、いつも冗談めかして、歳をとるにつれて認知面が低下して来ると感じ、その内に私のお世話になると言っていました。しかし、もちろん、義母には、認知症の気配など全くありませんでした。とても辛かった化学療法中でさえ、自分の治療スケジュールを把握して、どんな薬が使われ、副作用はどんなものか、しっかり理解していました。パソコンもスマートフォンも、私よりダンゼン!使いこなしていました。人と積極的に関わるという意味では、難しい医学用語も流暢に使いこなして、担当医師と対等に会話していたのが、思い出されます。 おそらく義母の知性は、持って生まれたものかもしれません。しかし、彼女の物事に対するバイタリティー溢れる態度は、特別なものでした。義母はいつも教会やコミュニティに身を置いて、人と関わっていました。決して孤立しませんでした。私の本でも触れさせて頂きましたが、社会的孤立は認知症の危険因子と言われています*2。義母は、いかに人々と関わり、支え合い、地域社会に身を置くかということを実践してきた人です。彼女がそれに気づいていたかは分かりませんが、当に、人と社会と接点を持つことで、認知面/脳の健康を保ち続けたお手本ではないかと、私は思ってます。 レネットお母さん、いろいろありがとうございました。どうぞ安らかに眠って下さい。 *1 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%94%BE%E3%81%AE%E7%A5%9E%E5%AD%A6 *2 Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, Ames D, Ballard C, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet, 2020;396:413-446. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)3036-6
- ブログ#14 長引くコロナとブレイン・フォッグ
私の周りにいるアメリカ人の知り合いに、症状がかなり長引くコロナを経験している人が、チラホラいらっしゃいます。そして、その中には、認知機能面の低下を訴える方も、いらっしゃいます。所謂ブレイン・フォッグの症状です。記憶力などの認知機能の低下を症状とし、脳が霧のようにモヤモヤした感じがする、ということから、Brain Fog (脳の霧)と呼ぶことが多いのです。そこで今回は、それに関連したアメリカからの研究報告*1を紹介させて頂きます。 この研究は、新型コロナウイルス感染後の罹患後症状(症状が長引く状態)における、認知面の症状を調査するために実施されました。 自己申告制によるインターネットで行われた調査には、米国内の 18 歳以上の人々が参加しました。 調査の少なくとも2か月前に検査でコロナ感染が確認されたと報告した人は、14767人いました(平均年齢:44.6歳、アジア人:3.8%、黒人:10.0%、ヒスパニック:9.5%、白人:73.2%、女性:68.0%、男性:32.0%)。 そして、この内の 1,683 人 (11.4%) が、罹患後症状の定義を満たしていました。これはどういう意味かと言いますと、調査開始日が、初めて新型コロナウイルス陽性反応を確認した月から 2 か月以上経過している個人で、調査時点で未だに何らかの症状を持っていた人、ということです。調査の質問内容は、認知面、気分、生活の上での機能面に関するものでした。 ちょっとビックリした結果は、罹患後症状を報告した1,683人の内の955人(56.7%)が、毎日少なくとも1つは認知面での支障を経験していると報告したのに対し、罹患後症状の無い人では、13,084人中の3,552人(27.1%)だけだった、ということです。 つまり、罹患後症状の方の半数以上が、思考の鈍化、集中力の低下、記憶力の低下(例:薬を飲むこと、何かを買うこと、等を忘れてしまう)、並行作業の困難、意思決定の困難など、何らかの認知面での支障を、毎日経験していた訳です。更に興味深いことに、罹患後症状においては、男性よりも女性の方が、また、高齢者(65歳以上のグループ)より年齢が若いグループ(18~24歳および45~54歳のグループ)の方が、日常的な認知面での支障を訴えていたそうです。 年齢差に関しては、既に加齢に伴う認知機能の低下を経験している可能性のある高齢者と比較して、若い人は、コロナに罹る前のベースラインからの変化を、より顕著に感じるためではないかと、この研究者は示唆しています。罹患後症状のある人では、認知面の低下は、高い抑うつ症状に関連しており、生活面での支障とフルタイムでの雇用の率が低い、ということにも関連していたそうです。 この研究が示唆しているように、認知機能の低下は、罹患後症状に共通する特徴であるので、罹患後症状の評価と治療に関しては、認知面を考慮することが重要だと考えられますね。 コロナ・パンデミックは、私たち人類にとって初めての経験であるため、まだまだ分からないことだらけですが、 近い将来、罹患後症状に関して更なる研究が行われ、しっかりとした評価と治療法が確立されることを願っています。 そして勿論、罹患後症状の方で認知面の低下―ブレイン・フォッグを経験している場合は、躊躇せずに、かかりつけ医や医療機関に相談して下さいね。 *1 Jaywant A, Gunning FM, Oberlin LE, et al. Cognitive Symptoms of Post–COVID-19 Condition and Daily Functioning. JAMA Netw Open. 2024;7(2):e2356098. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.56098 *罹患後症状について (厚生労働省のウエブページより)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
- 能登半島地震:被災者の皆さまへ、日本の皆さまへ
この1月1日に石川県の能登半島を中心にして起こった地震のために、多くの方が亡くなられたことに、心から哀悼の意を表します。また、被災された皆さまが、どんな思いをされているかと考えると、言葉にもなりません。心から深くお見舞いを申し上げます。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、石川県は私の故郷です。幸いにも、金沢市で暮らす母は、食器などが壊れただけで、怪我も無く無事にしております。金沢市は、能登方面に比べると、被害が少なくて済んだようです。母の弟、つまり私の叔父とその家族は、羽咋市で暮らしており、地震により家屋の一部が破損しましたが、幸い住める状態ということでした。1月13日(土)現在、県内で約55,550戸が断水中ということで、叔父家族もその中に入っております。母の弟と言っても、叔父も90歳。身体が心配です。そして、未だに孤立状態の集落が15地区にも渡り、793人の方が含まれるということです。私などは、あまりにも遠くにいて、唯々自分の無力さを痛感する毎日です。 そんな中ですが、被災地の皆さまの安全と、1日も早い復興を心から念じつつ、万が一にも、このブログをご覧いただいた方にとって役に立てばと、ここに、石川県からの災害情報と、被災者への支援(義援金)方法などを掲載させて頂きます。また、このブログの英語版では、アメリカで暮らす方々にも、支援を呼びかけています。 今月は、29年前に阪神・淡路大震災が起こった月でもあります。”生きる”ということ、また”生かされる”ということについて、深く考えさせられます。 ・義援金の受付 石川県 (直接窓口、銀行振り込み、郵便局振り込み 等) https://www.pref.ishikawa.lg.jp/suitou/gienkinr0601.html ・災害ボランティア支援団体への義援金 https://jvoad.jp/news/20240101notojishin-3/ ・ボランティア情報 https://prefvc-ishikawa.jimdofree.com/ ・最新の被害状況報告はこちらから https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/202401jishin-taisakuhonbu.html#higai ¥ 怪我もなく 大丈夫でした。
- ブログ#13 独居高齢者の味方はペット!? そして、犬より猫が認知症予防!?
今年初のブログは、ペットと認知症についてです。まずは、昨年10月に発表された日本の研究から。これは東京都健康長寿医療センターによる、大田区に在住する65歳以上の方を対象とした研究です*1。参加者11194人(平均年齢74.2歳、女性51.5%、既婚者67.1%)のうち、調査時(2016年)に犬を飼っていた方は、959人(8.6%)、猫を飼っていた方は704人(6.3%)でした。またその内の124人が、犬猫の両方を飼っていました。そして、およそ4年間に渡って、これらの参加者を追跡調査し、2020年までの認知症発症率を調べたわけです。結果は?というと、犬を飼っていた方は、飼っていない方に比べて、40%も認知症になるリスクが低かったそうです。また、この参加者の運動習慣と社会的孤立の有無も調べ、犬を飼っている人のうち、運動習慣がある人、社会的に孤立していない人は、認知症の発症リスクが有意義に低かったということです。また、残念ながら、猫を飼っている人では、同様の効果は見られなかったそうです。この研究者は、犬の世話をするということから、飼い主が日常的に運動し社会的参加を維持でき、その結果、飼い主の認知症予防に繋がっているのではないか、と結論づけています。 2つ目の研究は、昨年の12月に発表された英国からの報告で、50歳以上の地域住民からなる集団を対象とした長期追跡研究データを基にしています*2。その中から7945人(平均年齢66.3歳、女性56%、白人97.5%)が選ばれ、2010年から隔年で2019年まで、言語記憶能力とその流暢性が検査されました。この参加者のうち、35.1%に当たる2791人が何かしらのペットを飼っており、26.9%に当たる2139人が独居生活者でした。そして、結果はどうだったかというと、ペットを飼っている人の中で、独居生活者は、誰かと一緒に暮らしている人に比べて、言語記憶力と流暢性の低下が緩やかだったそうです。ペットを飼っていない独居生活者は、ペットを飼い誰かと一緒に暮らしている人に比べて、上記の能力の低下が速かったということです。この研究者は、この結果から、独居生活をされる高齢者には、ペットを飼うことが認知面には有益かもしれないと、結論づけています。 この二つの研究は、それぞれ条件は違いますが、ペットの飼育が認知面に影響するのか、ということを調べた点では、とても興味深いですね。勿論、最初の研究は日本人の高齢者を対象にしていますので、より参考になるのではないかと思いますが、英国の研究結果も考慮すると、独居の高齢者には、猫では無く(!)犬を飼うことが、認知症予防になるかもしれませんね。猫好きの方、悪しからず!! *1 Taniguchi, Y., Seino, S., Ikeuchi, T., Hata, T., Shinkai, S., Kitamura, A., & Fujiwara, Y. (2023). Protective effects of dog ownership against the onset of disabling dementia in older community-dwelling Japanese: A longitudinal study. Preventive medicine reports, 36, 102465. https://doi.org/10.1016/j.pmedr.2023.102465 https://www.tmghig.jp/research/release/2023/1024.html (日本語のプレスリリースはこちらです) *2 Li Y, Wang W, Zhu L, et al. Pet Ownership, Living Alone, and Cognitive Decline Among Adults 50 Years and Older. JAMA Netw Open. 2023;6(12):e2349241. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.49241
- ブログ#12 飲み会のシーズンですが、その前に…
あっという間に年末がやって来ました。本当に月日の経つのは早いですね。 さて、12月と言えば、クリスマス・パーティーやら忘年会といった集まりで、お酒を飲む機会も増える時期。年が明ければ、新年会もあります。楽しい機会に水を差すつもりではありませんが、是非、お酒の飲み過ぎには注意して下さいね。というのも、先日、「飲酒と認知症」というテーマで、専門の研究をされている方のお話を聞く機会に出会いました。この研究者によると、最近報告された英国での研究*1では、1週間に7単位(英国の基準で、純アルコール量が56g)以上の飲酒をする人は、7単位より少ない飲酒量の人に比べると、脳の灰白質(大脳皮質や小脳皮質)の全容量が少ないということが分かったそうです。簡単にいうと、例えば、缶ビールを1日に1缶(350mlのビールには約14gの純アルコールが含まれます)飲んでも、1週間で98gのアルコールを摂ったことになり、脳の灰白質の容量が減る可能性がある、ということです。そして、同じ研究によると、毎日短時間で大量のアルコールを摂取する人は、そうでない人に比べて、顕著に脳の灰白質の全容量が少ないということが分かりました。(余談になりますが、この短時間で大量の飲酒をすることを、英語でbinge drinkingと言います。)また、脳の灰白質の容量と、飲酒するアルコールの種類との関係は、ビールでもワインでも蒸留酒でも、特に差がなかったそうです。やはり、純アルコール量が大切となってくるようです。勿論、アルコールと認知症の関係については、今後も様々な研究が必要な分野だと思います。私の著書でも、アルコールは、45歳~65歳での認知症の危険因子の一つであるということを紹介させて頂きました。現在ランセット*2で推奨している基準は、英国の単位を使って週に21単位(純アルコール量168g)以下のアルコール摂取です。でももし、上記の研究結果が、人種や文化の違いに関係なく当てはまるとしたら、今後、認知症予防に推奨されるアルコール量の基準は、もっと少なくなるかもしれません。日本では、最近、厚生労働省で検討会を設け「飲酒ガイドライン」の案をまとめた*3と聞いています。日本でも、この純アルコール量を使って飲酒量を把握する動きとなるようです。また、その中で、生活習慣病になるリスクを減らすためには、目安として、1日当たりの純アルコール摂取量は男性 40g以下、女性 20g以下を挙げています。 因みに、純アルコール量の計算の仕方は以下のようになります。 摂取量(ml) × アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコール比重) 例: ビール 500ml(アルコール5%)の場合の純アルコール量は、 500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g) 私は、残念ながら(!?)体内でアルコールを分解する酵素が少ない体質で、お酒を飲むと、顔が真っ赤になって具合が悪くなります。ということで、お酒は一滴も飲みません。しかし、中には、ワインボトルを1個空けても、全然平気だ、という方もいらっしゃるかと思います。このように、飲酒に関しては、個人差も大きいかと思います。そして、ご自分の身体は、ご自分が一番よく知っている筈です。どうぞ、今後の身体・認知面・心の健康のために、ご自身にとって適切なアルコール量を考えながら、お酒を楽しんで下さい! *1 Topiwala, A., Ebmeier, K. P., Maullin-Sapey, T., & Nichols, T. E. (2022). Alcohol consumption and MRI markers of brain structure and function: Cohort study of 25,378 UK Biobank participants. NeuroImage. Clinical, 35, 103066. https://doi.org/10.1016/j.nicl.2022.103066 *2 Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, Ames D, Ballard C, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet, 2020;396:413-446. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)3036-6 *3 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_442921_00002.html
- ブログ #10 故郷の金沢にて
私事ですが、しばらく日本に帰国しておりました。その間に、30歳の時に人生やり直し!を決意し入学した、金沢大学の作業療法学科を訪れる機会に恵まれました。大学の恩師・柴田教授にお招き頂き、作業療法学3年生の皆さんに講義(もどき⁈)をさせて頂くことになった次第です。認知症ケアの論理と実践という観点から、私が枠組みとして使っているパーソン・センタード・認知症ケア(person centered dementia care)と文化的謙虚さ(cultural humility)を、簡単にお話しさせて頂きました。また、現在、取り組み中の認知症ケア・モデルについても触れさせて頂く事が出来ました。これは来年の春に開催されるアルツハイマーの国際会議で発表することを目標にしています。このホームページにも書いていますが、文化の多様化が進むアメリカはもちろんの事、在留外国人の数が増え、また、医療に従事する外国人の数も増えていくことが予想される日本でも、多様な文化に対応するには、謙虚な心構えが必要だと考えます。将来、素晴らしい作業療法士となられるであろう学生の皆さんにも、私の考える医療従事者のあり方が伝わっていれば嬉しい限りです。 私は生まれも育ちも金沢で、現在93歳の母が1人でがんばって暮らしているのも金沢です。東京と繋がる新幹線が出来て以来、金沢の国際化が進み、外国からの観光客が後を絶ちません。街を歩いていると、いろいろな言語が耳に入ってきます。もしかすると、その観光客の中で、不幸にも病気や怪我で病院を訪れたり、入院されたりする方がいるかもしれません。そんな時、私たちが持つ、そして、自身でも気づいていない他文化に対する偏見やステレオタイプが、治療やケアの妨げになってはなりません。そして、医療分野だけに限らず、真の意味で異文化交流に従事するためには、文化的謙虚さという概念を理解することが大切だと思います。 金沢大学の作業療法学専攻の皆さん、世界に羽ばたく、グローバルな視野で活躍する作業療法士となって下さいね。応援しています。そして柴田先生、お招き頂き、ありがとうございました!
- ブログ #11 米国に続いて、日本でも、遂にアルツハイマー新薬「レカネマブ」が承認される!
私が日本滞在中に、こんなニュースもありました。厚生労働省が、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」(商品名レケンビ)の製造販売を承認したのです。以前のブログでも紹介していますが、「レカネマブ」は、日本のエーザイと、アメリカのバイオジェンの共同開発です。アルツハイマー病で見られる脳内に蓄積したアミロイドβを取り除き、アルツハイマーの進行を遅らせることを臨床試験のデータで示しています。今回の承認は、アメリカに続いて2カ国目となりました。 さて、ブログでも書いた通り、この「レカネマブ」の投与対象者は、アミロイドβの蓄積が見られる軽度認知症障害(MCI)と早期のアルツハイマーの方に限られます。つまり、勿論のことですが、投与対象者になるためには、きちんとした診断が必要となります。MCIや早期アルツハイマーと診断されるには、PETスキャンや腰椎穿刺、MRIなどが必要となって来ると思われます。また、残念ながら「レカネマブ」を投与した方々の副作用(脳浮腫)も報告されています。投与は、2週間に1回の静脈点滴となります。嬉しいはずのニュースに水を差すつもりではありませんが、これらの事柄が何らかの問題となる可能性は、大いにあります。 そして、更に気がかりなのが、今後検討されるこの薬の価格です。一体、保険診療でいくらになるのか…。アメリカでは、年間の価格が2万6500ドル(390万円)です。国の負担と、投与される方の自己負担がいくらになっていくのか、年内にも決定されるということですが、いずれにしても非常に高額な薬となる事は、間違いありません。 ブログでも繰り返し書いておりますが、多くの人々を助けることになる筈の新薬ですので、アメリカ、日本を問わず、世界中で公正に販売されていくことを、切に願います! 薬価が決定されましたら、またブログで紹介させて頂きますね。
- ブログ#9 ビタミンDと認知症:本当に関係あるの?
前回のブログで、運動、認知トレーニング、ビタミンD摂取に関するカナダの研究を紹介させて頂きました。その研究によると、ビタミンDの摂取は、MCI (軽度認知障害)を持つ60歳以上の参加者の認知機能には、影響を与えなかったとの報告*1(詳しくは私のブログ8を読んでみて下さい)でした。 ビタミン Dは、おそらく、骨の健康に重要な役割を持つということで、最もよく知られているのではないでしょうか。さらに、抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用もあるそうです。しかし、私は、正直なところ、ビタミンDと認知障害との関連性について、あまり詳しいことは知りませんでした。そして幸運にも、最近、その関連性に関する研究をまとめた包括的な報告書*2を、見つけることができました。 この報告を簡単にまとめると、以下のようになります。 1)動物または細胞を使った実験では、ビタミンDが中枢神経系で複数の機能を担っていると示唆されている。2)横断研究(ある特定集団の、ある一時点でのデータを分析する研究)では、認知障害や認知症のある人の血中ビタミンD濃度が低いことが報告されている。ただし、逆の因果関係(ビタミンD濃度が低いから認知症になったのではなく、認知症のため、食事などが適切にできず、そのためにビタミンDが低下した)が存在する可能性がある。3) ビタミンD不足と認知機能低下のリスク増加との関連性については、まだ答えがはっきりしていない。4) ビタミンD補給が認知機能に及ぼす影響を調べた試験では、結論がバラバラである。5) ビタミンDの投与量については合意がなく、リスクのある人々に対する最適な治療年齢も特定されていない。 6)今後、更なる研究が必要である! つまり、今のところ、ビタミンDと認知機能の関係については、残念ながら、明確な答えはないようです。しかし、ビタミンDが欠乏している、もしくは、過剰である、という両極端は、身体に悪い影響を及ぼすというのは、想像できますね。認知面に拘わらずとも、例えば、ビタミンD不足は、高齢者では特に、骨粗鬆症による骨折リスクを高めますので、なおざりにしたくありません。 さて、前回紹介した研究では、ビタミンD摂取での認知面改善が見られなかったのは、重度のビタミンD欠乏症の参加者は4名のみで、他の参加者はビタミンD欠乏症ではなかったという事実に関係している可能性があると、指摘しています。 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*3 によると、日本人のビタミン D の 1 日あたりの食事摂取目安量は、18歳以上の成人に対して、8.5µg (マイクログラム) を設定しています。もちろん、ビタミン D の過剰摂取も健康に害を及ぼしますので、上限量を成人では100 µg/日としています。実は、肌が太陽にさらされることで、私たちの身体はビタミンDを生成します。という事で、これらの目安量は、日照によるビタミンDの生成量も考慮し、あくまでも食事からの目安量としています。 ビタミンDは、サーモン、牛乳、卵、豆乳、などに豊富と言われています。ちなみに、料理したサーモン一人前(85g)には14.2 µg、大きめの卵1個で作ったスクランブルエッグには1.1 µgのビタミンDが含まれています*4。私の著書「親子で防ぐ認知症」でも触れておりますが、サプリメントに頼るのではなく、毎日の食事からきちんと摂る、というのが1番理想的ですね。そして、是非、定期的に太陽の光を浴びることを忘れないで下さい。私は、灰色の空で有名な(苦笑)ワシントン州に住んでいるので、太陽が出たらすかさず、日焼け止めを塗って外出するようにしています! *1 Montero-Odasso M, Zou G, Speechley M, et al. Effects of Exercise Alone or Combined With Cognitive Training and Vitamin D Supplementation to Improve Cognition in Adults With Mild Cognitive Impairment: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open.2023;6(7):e2324465. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.24465 *2 Sultan S, Taimuri U, Basnan SA, Ai-Orabi WK, Awadallah A, Almowald F, Hazazi A. Low Vitamin D and Its Association with Cognitive Impairment and Dementia. J Aging Res. 2020 Apr 30;2020:6097820. doi: 10.1155/2020/6097820. PMID: 32399297; PMCID: PMC7210535. *3 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省 (mhlw.go.jp) *4 Vitamin D - Health Professional Fact Sheet (nih.gov)
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まず、私の著書「親子で防ぐ認知症」を読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。この度、公式LINEアカウント「【無料】認知症・介護の質問箱」が出来ました。私の著書を購入して下さった方が登録して頂くと、無料相談(1回限定、制限時間45分)を申し込むことが出来ます。 家族( 自分 )が認知症かもしれないと思う不安材料がある。 最近、家族が認知症と診断されたが、今後どうしたら良いか分からない。 現在認知症の家族の介護をしているが、困ったことがある。 などのご相談に、LINEのビデオ通話を利用して、個別に対応致します。 以下のURLをクリックして頂くと、登録が簡単に出来ます。 https://lin.ee/QACjb38 では、皆さまのご登録をお待ちしております。 日本は、9月も残暑が厳しいと聞いています。更に台風の季節ですし、なかなか過ごしやすい秋とはなりませんね。どうぞ皆さま、お身体くれぐれもご自愛下さいませ!
