私の哲学
日本は超高齢化社会となり、政府によると、認知症になられる高齢者数は、2025年には約700万人になると推定されています(平成28年版高齢者白書より)。この増加による介護現場での人手不足の対応策の一つとして、今や外国人の労働力に頼っていくという転換期を迎えています。また、日本で暮らす外国人の数も250万人を超えると言われています(平成29年度法務省)。将来、認知症のために介護が必要になられる在留外国人数も増える可能性があります。人種の坩堝と言われるアメリカでは勿論の事、このように介護する側とされる側の双方での国際化が進む日本においても、私は、パーソン・センタード・ケアと文化的謙虚さ(Cultural Humility)が、認知症介護の核となると考えています。
文化的謙虚さ(Cultural Humility)とは、アメリカで90年代後半に、医師であるMelanie Tervalon氏とJann Murray-Garcia氏によって提唱されました。医師が様々な文化背景の患者さんを、誤解、差別、偏見無しに診るためには、生涯学習として自己内省と自己批判を続けていくべきだという考えから、発展しました。多文化の環境において、医師と患者という力関係を、相互の信頼と尊敬に置き換えるために、医師には文化的謙虚さ(Cultural Humility)が必要だとします。私は、この文化的謙虚さ(Cultural Humility)は、医師に限った事でなく、全ての医療従事者に、必要であると考えています。そして、本当の意味でのパーソン・センタード・ケアは、ケアが必要である方の文化的背景を考慮したものであると思っています。
認知症のご家族を介護されている方々へのカウンセリングやサポートは勿論の事、更に、外国人介護者を導入される施設や医療機関へ、また在留外国人の為の施設や医療機関へ、この文化的謙虚さ(Cultural Humility)の概念を紹介し、医療従事者の皆さんにワークショップ/トレーニングを行っていく事で、日本の認知症介護の分野に微力ながら貢献していきたいと考えております。
