お久しぶりです!遅ればせながら今回は、この6月に発表された百歳高齢者に関する研究を紹介したいと思います。この興味深い研究は人口大国の中国で行われ、80歳以上の人々の健康的なライフ・スタイルと百歳になる可能性との関係を調査しました*1。
この研究では、80歳以上の人々を対象とした、中国で最大規模の調査の1つである中国長期健康長寿調査のデータを使用しています。年齢、性別、参加年が一致した、1454人の百歳高齢者と3768人の対照群(百歳になる前に死亡した方々)を含む、5222人の参加者(61.7%が女性、平均年齢94.3歳)で構成されていました。平均追跡調査期間は5年間でした。
この大規模研究では、喫煙、飲酒、運動、食生活の多様性(5つの食品群の摂取頻度)、BMIの5つのライフ・スタイルの側面に基づく、健康的なライフ・スタイル・スコア(HLS:スコアが高いほど健康状態が良好である可能性を示す)が使用されました。喫煙、飲酒の状況については、参加者に0、1、2(全くない:2、過去に経験:1、現在実行中:0)のスコアが、運動については0、1、2(全くない:0、過去に経験:1、現在実行中:2)のスコアが割り当てられました。 食生活の多様性は、果物、野菜、魚、豆、お茶の5つの食品群の摂取頻度に応じて評価されました。 参加者は、各食品群の摂取頻度について「ほぼ毎日」、「冬以外、または時々、もしくはたまに」、「滅多に、または全くない」と回答し、それに応じて2、1、0のスコアが割り当てられました。 BMIについては、中国では80歳以上の人々において、低体重が全死亡リスクの増加と関連付けられているため、参加者には、低体重、過体重/肥満、標準体重にそれぞれ0、1、2のスコアが割り当てられました。そして、健康的なライフ・スタイルと80歳以上の人が100歳以上になる確率が、関連していることが観察されました。また、特に、喫煙状況、運動、食生活の多様性の3項目のみを含む健康的なライフ・スタイル・スコア(HLS-100)を作成したところ、健康的なライフ・スタイルと百歳以上の高齢者になる可能性との関連性は、興味深いことに、さらに高くなることが観察されました。健康的なライフ・スタイルを順守することは、高齢になっても有益である可能性がある、ということになります。この研究者は、健康的なライフ・スタイルの評価は、年齢層ごとにカスタマイズする必要があり、健康と長寿を促進するライフ・スタイルの改善を目的とした介入方法は、人生の様々な段階で役に立つ可能性がある、と示唆しています。
米国国勢調査局によると、2020年のアメリカの国勢調査では、百歳以上の高齢者は80,139人でした。これは、2010年の国勢調査から50.2パーセント増加しています。そして、ご想像のとおり、その大半は女性でした(78.8パーセント)*2。 さて、長寿大国の日本ではどうかというと、2023年には100歳以上の高齢者は92,139人となり、そのうち約89%が女性でした(厚生労働省調べ)*3。調査の年に違いはあれど、アメリカの人口は、大雑把に見て、日本の約3倍と考えると、日本の100歳以上の方々の数が、とても多いことが分かると思います。
年齢や性別に関係なく、健康的な選択を日々していくことが、賢明であることに間違いはないと思います。将来、「元気な百歳以上の会!」に入るためには、遅すぎることはありませんー現在のライフ・スタイルを見直して、今から賢く健康的な生活を始めましょう!!
日本は、まだまだ暑い夏が続いていることと思いますが、皆さん、どうぞ熱中症や夏バテに充分注意して、元気にお過ごし下さい。
*1. Li Y, Wang K, Jigeer G, et al. Healthy Lifestyle and the Likelihood of Becoming a Centenarian. JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2417931.
doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.17931
*2. The U.S. Census Bureau (2023). The Older Population: 2020 census briefs.
*3 The Japanese Ministry of Health, Labour, and Welfare (2023). Press Release (in Japanese).
コメント